医用工学科
実録レポート
長生きが怖いことではなく、
みんなの楽しみになればいい。
医用工学科
岡本 佑夏
大阪府出身
どんなことに取り組んでいる?
私はいま、外科手術で人の体内に使用される医療用ボルトの締まり具合を、レーザー照射によって測定する原理を研究しています。事故で骨を損傷された方などの身体機能を回復するため、手術にボルトが用いられることがありますが、それが確実に締められているかどうかはこれまで担当医師の主観で判断されており、時間が経って緩みが出ることもあったそうです。そうしたトラブルを防ぐため、「締まり具合を正確に判断する方法はないか」という治療の課題に対し、私の所属する機能調和生体材料研究室で解決に取り組むことに。私は「レーザー照射によって得られるデータから治療品質を保証できるか」という原理の部分を担当することになりました。
興味のきっかけは?
もともと本学科に進学したのは、工学の知識を人のために生かせる臨床工学技士に憧れたから。資格は専門学校でも取れますが、将来医療現場で医師や看護師に対して意見をはっきり述べ、信頼を獲得していくには、関連する専門領域について幅広く学べ、コミュニケーション力も磨ける本学科で力をつける方が有利だと思ったのです。また都市部から離れたキャンパスは、研究や学びに没頭するには良い環境で、特に国家資格を目指して必死で学ぶ医用工学科にはうってつけ。設備も充実していますしね。そして私はここで医用工学の専門分野を学ぶうちに具体的なテーマへの興味が定まり、3年次の研究室選択ではレーザーを扱う三上先生の研究室に志願しました。
研究テーマへのアプローチは?
物体にレーザーを当てると固有振動周波数が得られます。その数値がボルトの締結強度によって変わることはすでにわかっており、確実に締まっているかどうかを判断する基準になるのではないかという仮説がこの研究の発端です。ところが、その数値の変化は、締める強さ(軸力)によるものか、素材同士の摩擦によるものかがまだハッキリせず、私は日々条件を変えてレーザーで計測を行い、固有振動周波数の変化がどの条件に相関するのかを突き止めようとしています。いざやってみると同じ作業の繰り返しで本当に地味な研究ですが(笑)、いままで測定できなかったパラメータが取得できたり、各パラメータの相関関係がわかる瞬間はわくわくします。
目指していることは何?
まずは臨床工学技士の国家資格を取得したい。私は試験対策のため、授業の空き時間は図書館にこもっていることも多いです。本学科では月に1回程度、模試が実施されるため、そこでいまの自分に足りない知識を確かめ、計画を見直しながら学力を向上させるよう頑張っています。国家試験対策は結構大変ですが、臨床工学技士の仕事にはそれ以上の魅力を感じるんです。これから高齢化が進み、体が痛くて動けないという方も増えるでしょう。そんな方に人工関節の施術を行って人生を楽しめるようにするなど、幸せのお役に立てる自分になりたい。いま行っている研究も、そんな高齢者にやさしい社会づくりに少しでも貢献できるものになればいいなと思います。
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