研究室紹介

1.分子生化学研究室

◆ 選択毒性に優れた殺虫剤(微生物農薬)の開発(主に武部グループ)

 農作物を病気や害虫の被害から守り、予定していた収穫量を得ることは、食糧不足の回避という「食の安全」につながります。農作物を守るには農薬が効果的ですが、多くの農薬は標的病害虫だけでなく、動植物や環境にも悪影響を与えるという問題があります。ところが、BT剤として市販されている殺虫剤は標的害虫のみに作用し、益虫や人畜、農作物には無害という選択毒性をもっています。さらに、易分解性で残留性が低いことなどから、生態系を乱さず環境負荷も小さい生物農薬として、広く世界中で使用されています。また、優れた選択毒性は農作物害虫のみならず、都市部における衛生害虫駆除を目的とした利用も考えられています。
 BT剤に含まれる殺虫成分は土壌細菌Bacillus thuringiensis がつくる殺虫性結晶タンパク質で、Cryタンパク質と呼ばれています。Cryタンパク質の選択毒性は大変優れていて、例えばCry1Aaというタンパク質はアオムシやケムシには殺虫性を示しますが、コガネムシやボウフラには作用しません。同じように、Cry3Aはコガネムシとその幼虫、Cry4Bはボウフラに作用しますが、標的以外の昆虫には毒性を示しません。タンパク質の細胞認識機構に基くCryの選択毒性は、どのような分子機構によって行われているのでしょう。私たちの研究室では、殺虫タンパク質Cryの標的昆虫認識の仕組みを分子レベルで解明することを目指しています。


◆ ゲノム解析に基づく微生物の理解と応用(主に東グループ)

 全ての生き物は自分自身を形作り子孫を増やすための設計図としてのゲノム(=全遺伝子セット)を持っています。一方、人間が到達できる地球の至る所には、肉眼で見ることは出来ませんが、ものすごい種類のものすごい数の微生物が棲息しています。これらの微生物のうち、人間の健康と直結する微生物や豊かな社会構築に貢献できる微生物を選び出し、その微生物のゲノム解析を日夜進めています。その解析から、それら微生物がもっている様々な能力が長い進化の歴史の上でどのようにして獲得されてきたのか理解しようとしています。同時に、病気の原因となる微生物のゲノム解析からは病気の克服に繋がるような創薬のアイデアを得ようとしています。また、持続可能な社会の構築に向け、プラスチックの生産などを化石燃料に頼らない「ホワイトバイオテクノロジー」の発展に貢献できるように、有用微生物のゲノム改変にも取り組んでいます。



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