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平成28年度 第6回 公開講座

第6回終了いたしました
開催
日時
平成28年8月28日(日)
受付/13:00 開講/13:30
参加 343名
開催地 紀の川市 内容
  1. 「微生物」を知る。「微生物」と共に生きる。
    13:40~14:30
    食品安全工学科 准教授 東 慶直

    我々人類と深い関係になっている微生物。次世代DNAシークエンサーという解析機器とコンピュータの発達によって微生物研究が急激に変化している最中です。私たちの健康とも密接に関係する微生物「敵とも味方ともなる微生物」の研究についてご紹介します。


  2. 宇宙からの目で皮膚を診る
    14:35~15:25
    システム生命科学科 講師 永岡 隆

    皮膚がんの一種であるメラノーマは悪性度がとても高い病気ですが、診断はいまだ医師の主観に頼っています。本講座では、メラノーマを安全かつ高精度に診断するシステムの研究開発の現状を解説します。

会場 近畿大学生物理工学部
(3号館アリーナ)
和歌山県紀の川市西三谷930
後援 和歌山県教育委員会
紀の川市教育委員会
岩出市教育委員会

講座内容

1.「微生物」を知る。「微生物」と共に生きる。

食品安全工学科 准教授 東 慶直

 「微生物」は本当に地球上の至る所にいます。畑の土や道路の水たまりはもちろんですが、凍てつく高峰や熱湯泉、深海、大規模ボーリングにより到達できる地底にも、微生物は棲息しています。普段の生活では、お風呂のカビを「除菌剤」で掃除するとき、風邪を引いてのどが痛いとき、そして納豆を箸先でこねているときにその存在を感じることができる程度ですが、私たち人間の腸内や皮膚表面にも大量の微生物がすんでいて私たちの健康と密接に関係しています。ところで、次世代DNAシークエンサーという解析機器とコンピュータの発達によって、今まさに微生物に係わる情報は爆発的に増加し、微生物研究はその急激な変化に対応している最中です。本公開講座では、我々人類と深い関係になっている微生物について、そして私どもの「敵とも味方ともなる微生物」の研究について、ご紹介したいと思います。

2.宇宙からの目で皮膚を診る

システム生命科学科 講師 永岡 隆

 メラノーマとは、皮膚にできる『がん』の一種です。日本人には10万人に2人程度と非常に稀な『がん』ですが、『がん』の厚さが1ミリ増す毎に5年生存率が急激に悪化する、とても危険な病気であり、別名「がんの王様」と呼ばれています。メラノーマの診断は現在においても医師の主観的な評価に頼る部分が大きく、多くの大学や企業が自動診断に取り組んでいますが、実用化には至っていません。講師はハイパースペクトラルイメージングと呼ばれる、もともとは衛星から地球を観察するための技術を応用し、メラノーマを高精度に診断するシステムの研究開発に携わっています。本講座では、講師自身の臨床での研究歴を織り交ぜつつ、メラノーマとメラノーマの診断システムについて解説し、システム生命科学の奥深さ、楽しさについてお話します。

会場ご案内図

受講された方からの質問と回答

< 東先生への質問 >

高温でも発酵能力のある菌を選別して、その能力を発揮する遺伝子を利用して、酢酸菌に導入することで、発酵温度を高くできないのでしょうか?
近代的な食酢生産が行われる以前から食酢はやや高温環境下の方が醸造が進むことが経験的に知られていました。日本で酒粕を用いた近代的な食酢が醸造されるようになってもその点は変わっていません。つまり、酢酸菌はかなりの年月をかけて高温で発酵能力の高い菌が選別されてきたことを意味しています。しかし、巨大なタンクを用いた発酵で生じる熱環境は極めて現代的で人工的なものであり、通常の方法ではその熱までも乗り越えられるような菌は並大抵な方法では分離が困難です。
また、それぞれの企業では、特徴ある菌種を用いて醸造が行われています。それらの菌からおのおの耐熱菌を分離するのは現実的ではありません。世界中の発酵生産を行う企業を対象と考えるとき、ある種の画一的な方法で菌を高温耐性にする技術が必要となります。今回我々の行っているのは、簡便でかつ画一的な菌の高温化方法の確立と、高温耐性化に必要な遺伝子的な背景を詳細に理解することです。
血液をよくするために、酢大豆を飲んでいますが、効果はあるのでしょうか?
ミツカン酢などが報告しているところでは、「血圧低下」、「血糖値安定化」、「血中脂肪の減少」があります。しかも大豆はきわめて良質な食品ですから、酢大豆は健康維持に優れていると考えられます。ただし何事もそうですが、その人に適しているかどうかは、ある程度の期間にわたって食しないと分かりませんし、また適切な量も様々だと思います。逆に、あまり神経質にならずに、いろんな健康志向の食品を「3日坊主」で試すこともいいかもしれません。
ストレス耐性(高温適性)を改良するための遺伝子導入は、遺伝子組替で行っているのか。他の特性の劣化や変化はないのか。
ストレス耐性に関しましては、講座であまり詳細を語りませんでした。実際にはストレス耐性は遺伝子が支配すると考えていますが、どの遺伝子が重要か、どのくらいの種類の遺伝子が関連するか、全く分かっておりませんでした。そこで我々が行ったのは、「育種」でした。モデルとして酢酸菌を少しだけ過酷な環境下で培養し、その環境下に順応するとまた少しだけ過酷な環境下で培養することを続けました。温度では、1度刻みだったり、0.5度刻みにしたこともありました。「適応育種」とか「訓化」とか呼ばれるかなり古典的な実験手法です。私がこの手法を採用した際には、多くの研究者から「なんてどろくさい」方法で実験しているんだと言われました。
しかし、一端良好な微生物を育種できましたら、それまでに培っていましたゲノム解析学を活用しまして、その菌の特性をゲノムレベルで明らかにしました。このゲノム解析ができるかどうかが他の研究者との違いだったのです。そのゲノム解析によって、どの遺伝子がどのように耐熱性に関与するかが明らかにしました。その後、それらの遺伝子を温度耐性のない菌に導入し(遺伝子組換え)、各遺伝子の重要さを証明しました。
問題は実用化に際して、食品生産では遺伝子組換え微生物の使用は極めて困難です。医薬品や工業製品の生産からある程度で可能となります。現在はその両方の企業に働きかけて、技術の社会実装を目指しています。
< 永岡先生への質問 >

メラノーマの増加と南半球のオゾン層の減少は関連あるのですか?この装置で、古美術品が本物かどうかの確認に利用できる?
オゾン層に関しては専門家ではないのであくまで一般論としての話となりますが、オゾン層の減少によって地表に降り注ぐ紫外線が増加し、それによってメラノーマの発症が増加することは十分に考えられます。
古美術に関しても専門ではないのであくまで可能性としての話になりますが、通常のデジタルカメラに比べて色を詳細に計測することが可能ですので、正確な色の記録には使えると考えられます。その延長線上として、真贋の判定に応用することも可能かもしれません。
メラノーマの発生部位は日常・紫外線(日光)が当たらない部分でも発症するのでしょうか。紫外線と照射時間との関係とは?
紫外線はメラノーマの発生原因の一つであり、その他の刺激、たとえば物理刺激によっても生じることはあります。アジア人は特に足裏にメラノーマが多発すると言われています。遺伝的な影響も多いようなのですが、これは足裏に常に物理的刺激が加えられ続けていることが一因と考えられています。紫外線によってメラノサイトの遺伝子が破壊されることがメラノーマ発病の一因ですので、紫外線に当たっている時間が長いほど、メラノーマの発症リスクは高まると考えられます。気になるホクロに関しましては、ぜひメラノーマ専門医の受診をお勧めいたします。
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